「イエスさまが示したお手本」

              ヨハネによる福音書13117

                                  水田 雅敏

 

ある日のことです。イエスさまの弟子たちが夕ご飯を食べに集まってきました。弟子たちはそれぞれ席に着きました。

すると、先に席に着いていたイエスさまが立ち上がりました。「あれ、どうしたのかな。」みんなは動き出したイエスさまを不思議そうに目で追いかけました。イエスさまに注目です。イエスさまは上着を脱ぐと、腰に布を巻き、たらいと水がめを持ってきました。そしてそのたらいに水を注ぎ、その中に埃だらけの弟子たちの足を入れて優しく洗い始めました。

「え!イエスさまが、わたしの足を洗うなんて!」。弟子たちはびっくりです。

皆さんは裸足で駆けっこをしたり、泥遊びをしたことはありますか。靴を履くのが面倒くさくて、「ちょっとならいいや」と裸足でベランダや庭に出たことはないですか。

そういう時、そのまま部屋に入ろうとすると、大人の人から、「ほら、汚いから足を洗ってから入りなさい」なんて怒られたりしますね。確かに埃だらけ、泥だらけの足は汚いです。

イエスさまの時代には運動靴なんてなくて、革のサンダルみたいなものを履いていたそうです。車もバスも電車もなかったので、ひたすら歩いたんだそうです。一日歩いて埃だらけだった弟子たちの汚れた足を、神さまの子供であるイエスさまが膝をついて、一人一人洗ってくださったのです。

どうしてでしょうか。イエスさまは私たちにお手本を見せてくださったのです。「わたしを見なさい。ほら、このようにするんだよ。」

私たちはお互いの汚い部分とも向き合って、その汚れをきれいにするためには膝をつかなくてはできません。上から見下ろして、「私のほうがあなたより偉いんだぞ」なんて言って、立って威張っていたら、本当に助け合うことなんかできません。

イエスさまは「先生」とか「主」と呼ばれていたけど、弟子たちの足もとに自分から膝をついて汚れを取り除いてくださいました。仕える者、僕になってくださいました。

イエスさまが足を洗った弟子たちの中には、イエスさまを捕まえる手助けをしたユダという人もいました。イエスさまはユダの汚れた足も洗ってくださいました。イエスさまは知っていました。ユダが自分を裏切ることを。それでも、ほかの弟子たちと同じように、ユダのことも大切に思っていたのです。ユダの弱い心や汚い心、ほかの弟子たちの、そして私たちの弱い心や汚い心を全て受け止めて、イエスさまは十字架にかかり死なれたのです。

 

イエスさまは「わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするように」と言われました。お互いに仕え、助け合うという気持ちがみんなを笑顔にします。私たちも互いに仕え、助け合う仲間でいたいと思います。