「新しい命」

                     ルカによる福音書202738

                                                水田 雅敏

 

春になるとモンシロチョウを見かけることがあります。今日は青虫のモンタとシロウの話をします。青虫というのはモンシロチョウの子供です。

キャベツの葉っぱの上に乗っかった青虫のモンタは空を見上げて言いました。「僕たちが空を飛べるようになるってほんとかな?」同じ青虫のシロウは言いました。「昔からそう聞かされているけど、そんなことありっこないよ。だって僕たちはもう随分大きくなったけど、葉っぱや木の枝から落っこちてばかりいるし、隣りのキャベツ畑まで行くのも大変なんだから。」「でも、もうすぐ僕たちはサナギになるって、みんな言ってるよ。」

それから三日後、モンタとシロウはスッポリとサナギの殻の中に入ると、じっと動かなくなりました。もう食べたり飲んだりしません。まるで死んだようになりました。

そして、一週間が経ちました。サナギの皮が破れて、モンタとシロウは顔を出し、胸を出しました。二人とも羽がついたモンシロチョウになっていました。

縮れた羽がゆっくり伸び切るまでジッとしていました。それから羽を広げて空中高く舞い上がりました。何て素晴らしい景色でしょう。今まで見たこともない花や野の草、遠くの緑の山々、そしてたくさんの虫たち。てんとう虫やバッタ、トンボ。モンタとシロウは嬉しくてたまりません。甘い蜜の香りのする花に向かってヒラヒラ飛んで行きました。すべてが青虫だった頃には想像もできなかった新しい世界でした。

さて、私たち人間はこの世の命が終わったらどうなるのでしょうか。人は誰でもいつかは死んでいきます。死ねば私たちは土に帰り、二度と生き返らないのでしょうか。そうではありません。亡くなった人はちょうどサナギのように眠って待っている状態にいるといってもよいでしょう。そして、神さまの力によって全く新しい命に甦るのです。

青虫のモンタとシロウは自分たちが空を舞うチョウになれるとは思いもよりませんでした。それと同じように、私たちが新しく甦るとき、どのような姿になるのか誰にも分かりません。でも、イエスさまは、神さまの教えに従って生きた人たちは復活して天使のような者になると言われました。そして、悲しみも苦しみもない神さまの国で神さまの子供として永遠に生きると教えられました。

 

昔のある人は、自分が死んだあとに行く世界で困らないように、自分の財産や宝も一緒にお墓に入れて葬ってもらったそうです。でも、私たちはそんな心配はいりません。イエスさまを信じ、神さまの御心に従って、毎日を生きればよいのです。こうして私たちは新しい命に甦るための準備をするのです。